「すっかり可愛くなったね」
「お世辞はいりません。皆があそこの姉妹は月とスッポンって言ってるの、知ってるんですから」
内心の動揺を押し隠して話しかければ、彼女は軽快に話を返してくる。
冷静な状況把握能力に、それでも腐らずにいられる精神の強さ。
(香乃より年上と話している気分だな)
話していて落ち着くとは、こういうことを言うんだろう。
女を前面に押し出して迫ってくる女性陣とも、ちょっと頭の軽そうな香乃達とも違って、野乃との会話は小気味良い。
なんとなく心臓がうるさい。変に緊張しているのかもしれない、無駄に酒が進んでしまう。
じっとしていても、くりっとした瞳は周囲を観察するようにせわしなく動いていて、俺のグラスが空になれば、すぐに注いでくれる。艶のある唇から放たれる言葉には媚を売る様子はなく、本気で昔を懐かしんでいるのが伝わってくる。
(ああ、かわいいな……)
そう考えて、俺は正気に返る。
(いかん、いかん、いかん。俺はロリコンじゃない)
「私、お姉ちゃんと佑さんって付き合ってるんだと思ってました。昔、よく一緒に出掛けてたし」
「ああ……。あれはまあ、なんというか契約みたいなもんだったからねぇ」



