笑って俺は言う。

「……ここは地獄だぞ」

「貴方がいるなら、天国です」

「アハハ!……お前は大馬鹿だ!」

 声を上げて笑い、先輩は俺を抱きしめる。


「……(さち)さん、死ぬまで貴方のそばにいさせてください。

――俺は、貴方のものです」

 きっと俺は、この人の言うとおり、馬鹿なのだろう。この人に人生を渡すことは、幸せを捨てることになるのだから。


この人と一緒にいて、永遠に幸せになんてなれるわけないのだから。


それでも、俺はこの人と一緒にいたい。

たとえそれで、暴力を振るわれようと。なにかを制限される羽目になろうとも。


貴方と一緒なら自由なんてなくていい。

貴方が隣にいれば、それだけでいい。