それからの生活は穏やかに過ぎていった。

翡翠の仕事は忙しく、まだ慣れない翡翠は疲れた様子で帰って

くるものの、甘い態度は変わりがなく、私を大事にしてくれた。

私も学校生活も順調で、もうすぐ2回目の実習が始まろうとして

いて、また実習対策の日々だった。

1回目の実習は散々な思いをした私は、今度は若葉さんとペアに

なりませんようにと神様に祈っていた。

萌とは、「今度こそ一緒だといいね」と言って笑い合っている。

萌には、まだ翡翠の事は言えずにいた。

何となく、まだ空さんのことが引っかかっていて話ずらかった。

デュパンでは、マスターが

「最近るーちゃんが、綺麗になった気がする。恋でもしてるの?」

と聞くようになった。その度に、言葉を濁していたが、先日、岩井

さんにまで聞かれたので、観念して二人に彼ができたことを報告した。

二人は私を我が子の様に心配しながらも、最近の私の明るい顔を

見てくれていたので喜んでくれた。

「るーちゃん、そのネックレスは彼からかい?」

「あ、そうなんです。私の大事な宝物です」

翡翠に貰った婚約指輪は、ネックレスにして肌身離さず身につけて

私のお守りの様になっていた。

「そうか、良い彼なんだね。

 何かあった時は、いつでも相談にのるからね」

「はい、その時はお願いします」

周りの優しさに感謝していた。