「みんなこんばんは。はかどってる?」
腰に飛びついてくる子どもたちを相手しながら歩いてくる。
「そうだ、この声だ。妾たちをたびたび外に出して、祝詞をあげてくれたんじゃ」
お雛さまの声が弾む。不思議そうに私の手元を覗き込んだ三門さんは、すこし目を驚いたような顔をした。
「ひな人形が付喪神になりかけているのか。気が付かなかったよ」
「三門とやら、礼を言う。妾たちに麻の様子を報告してくれたのはお主じゃろう」
うん? と首を傾げた三門さんはしばらく間をあけてから、何か思い当たる節があったのか「あっ」と声をあげる。
「それは僕じゃなくて、麻ちゃんのおじいちゃんだよ。僕も手伝っていたけど、ほぼ昭徳さんがしてたから」
思わぬところで出てきたおじいちゃんの名前に、今度は私が目を丸くした。
聞けば、おじいちゃんは毎年ひな祭りが近くなると、この神社へ帰ってきて祝詞を奏上し私の様子をお雛さまに教えていたらしい。
けれど、どうしてそこまでする必要があったんだろうか? と首を傾げる。すかさず三門さんが教えてくれた。

