「麻、御神刀さまとも親しくなっていたのかい? そうだよ、御神刀さまと同じ、古くなったものに魂が宿ったものを付喪神と言うんだ」
そのお雛さまは、付喪神になりかけているんだね。
そう付け足したババ。恐る恐る視線を下に向けていくと、こちらを見上げるお雛さまと目が合った。う、とやはり怯んでしまう。ホラー映画の正か、「日本人形が話す」ということが「怖い」というイメージに直結してしまうからかもしれない。
「麻どの、さすがの妾も少し傷付くぞ」
お雛さまがまた喋った。表情は変わらないが、声が少し悲しそうな音色になる。
「ご、ごめんなさい。慣れたと思ったんだけど」
「巫女さま、ここへ来たときはひっくり返ってびっくりしてたもんね」
「いやーってね!」
周りにいた子どもたちが揶揄い交じりにそう言う。分が悪くて誤魔化すように笑っていたが、かくんと首をもとの位置にもどしたお雛さまにまた小さく悲鳴をあげた。
「妾の体を持ち上げておくれ。まだ付喪神ではないゆえ、体を自由に動かせんのじゃ」
ほれ早う、と急かされて、恐る恐るお雛様を持ち上げる。顔の高さまで持ち上げると、お雛さまは「それでよい」と言う。

