牛車の陰に隠れた家鳴たちを笑いながら見守る。
「ねえ巫女さま」
赤い髪をふたつ括りにした小鬼の女の子が私の袖を引いた。
「どうしたの?」
「おひなさまが、巫女さまとお話したいんだって」
「そっかそっか。……え、誰がお話したいって?」
女の子は私の顔の前にずいっとお雛さまを差し出した。戸惑いながらも両手で受け取る。
「本当にお雛さまがお話したいって言ったの……?」
「言ったよ、私嘘つかないもん!」
少しいじけてしまった彼女の頭を撫でながら、苦笑いでお雛さまの顔を見る。
人形が喋るはずがないし、きっと聞き間違えたんだ。そう納得して人形を床に下ろしたその時、
「────おお、お主が真由美どのの子か」
とても小さいが、凛とした声が聞こえた気がした。ん? と首を傾げながら振り返る。
「ババ、何か言った?」
怪訝な顔をしたババが「いいや」と首を傾げる。

