「ああこれ! 悪戯するんじゃないよ!」
ひな人形の牛車を引いて遊んでいた家鳴をぴしゃりとババが叱りつける。遊んでいた家鳴たちは首根っこ掴まれて、非難の声をあげた。
裏の社が開いて直ぐに、ババが社務所にやってきた。ひな人形を飾る手伝いをしてくれるらしい。
昼のうちに三門さんが倉庫から出してくれたお雛さまが入った段ボールは、社務所のすみに積み上げられている。せっかくだし、妖たちにも楽しんでもらおうと、社務所に飾ることになったのだ。
後から来た子ども達も参加して、ひな人形が少しずつ並べられていく。
「ババさま、お雛さまで遊んでもいい?」
「ん? そうだねえ、遊んであげなさい」
子どもたちは早速飾ったばかりの人形を取って楽しそうに遊び始めた。そんな様子を眺めながら「いいの?」とババに尋ねる。
「いいんだよ。ひな祭りは“祭り”だから、好きに遊んでいいんだ」
子どもたちの頭を撫でながら目じりを下げてそう言った。悪戯するのはいけないけれどね、とお内裏さまの刀を振り回す家鳴をじろりと睨む。

