そしてもうひとり、予想外なほど食いついてくる人がいた。
「これが朝から作っていたものか。イズミ、この窓はいったいどうやったんだ。それにこの白いものはなんだ?」
アーレスである。
ヴィラに負けじとお菓子の家をのぞき込み、いかつい顔で何やら見分している。
「アイシングというのです、アーレス様。砂糖を粉のようにして卵白と混ぜ合わせて糊のような役目をさせるのです」
「すごいなイズミは。俺の考えつかぬものばかりつくる」
「私が考えがわけではないんですよ。私の世界では一般的に知られていることですもの」
率直な誉め言葉に、いずみが顔を赤くしていると、ついにセリーナが笑い出した。
「ふふっ、ふふふふ」
「なんですか母上、気持ち笑い方はしないでいただきたい」
「だってあなた。難しい顔して何を言うかと思ったら。堅物のあなたが結婚すると聞いて驚いたものだけど、うまくやっているみたいね」
カラカラと笑うセリーナに、仏頂面で食い下がるのはアーレスだ。
こうして母親と居る姿を見ると、アーレスが少しばかり幼く感じられる。
「アーレス様もびっくりさせたくて、内緒にしていたんです。驚いてもらえてよかった」
アーレスのおかげで、すっかり緊張も緩んだいずみは、ここに来た本題を思い出した。
「あの、お義母様。まずはお礼を申し上げたくて。ジナから、私の日常着を手配してくださったと聞きました」
それに、驚いた顔をするのはアーレスだ。
「これが朝から作っていたものか。イズミ、この窓はいったいどうやったんだ。それにこの白いものはなんだ?」
アーレスである。
ヴィラに負けじとお菓子の家をのぞき込み、いかつい顔で何やら見分している。
「アイシングというのです、アーレス様。砂糖を粉のようにして卵白と混ぜ合わせて糊のような役目をさせるのです」
「すごいなイズミは。俺の考えつかぬものばかりつくる」
「私が考えがわけではないんですよ。私の世界では一般的に知られていることですもの」
率直な誉め言葉に、いずみが顔を赤くしていると、ついにセリーナが笑い出した。
「ふふっ、ふふふふ」
「なんですか母上、気持ち笑い方はしないでいただきたい」
「だってあなた。難しい顔して何を言うかと思ったら。堅物のあなたが結婚すると聞いて驚いたものだけど、うまくやっているみたいね」
カラカラと笑うセリーナに、仏頂面で食い下がるのはアーレスだ。
こうして母親と居る姿を見ると、アーレスが少しばかり幼く感じられる。
「アーレス様もびっくりさせたくて、内緒にしていたんです。驚いてもらえてよかった」
アーレスのおかげで、すっかり緊張も緩んだいずみは、ここに来た本題を思い出した。
「あの、お義母様。まずはお礼を申し上げたくて。ジナから、私の日常着を手配してくださったと聞きました」
それに、驚いた顔をするのはアーレスだ。



