*
気が付いたとき、最初にいずみが思ったのは、〝冷たい、固い、騒がしい〟だった。
どうやら床の上で寝ているようなのだが、すぐ近くでする言い合いの声がうるさい。群衆のというよりはふたりくらいが掛け合いのように話している。
(……なんで寝てるんだっけ)
いずみは記憶が混乱していた。目を閉じて横になったまま、自分がなぜ倒れているのかをゆっくり考えてみる。
(そうだ。事故があったんだよ。天井のライトが落ちてきたんだ。結構な大ごとだったと思うけど、私別に、どこも痛くないんじゃない?)
少しずつ感覚が戻ってきて、そこまで思い至ったところで目を開けた。
そして、予想していたのとは違う景色に、一瞬頭が真っ白になった。
まず床が石造りだった。床だけじゃなくて壁もだ。広々とした大きな空間で、ギリシャ神殿で見るような白い柱が高い天井まで続いている。
そして周りに人がいない。スタジオ内にはたくさんの人がいたはずなのに。
(先生は? スタッフさんは? どこに行ったの?)
居るのはふたりだけだ。しかも、格好がキテレツ。
ひとりは、栗色の髪にあまり特徴のない顔。白い布を巻き付けただけのような体のラインの見えない服に、白いまっすぐに伸びた山高帽をかぶっている。
もうひとりは、長い銀髪。こちらは目を見張るような美形だ。服も、ヨーロッパの王様が着ているような、ごてごてした貴族服を着ている。人を選びそうな服だか、それに負けない派手な顔だ。
(……何かの番組の収録現場ですか、ここは)
気が付いたとき、最初にいずみが思ったのは、〝冷たい、固い、騒がしい〟だった。
どうやら床の上で寝ているようなのだが、すぐ近くでする言い合いの声がうるさい。群衆のというよりはふたりくらいが掛け合いのように話している。
(……なんで寝てるんだっけ)
いずみは記憶が混乱していた。目を閉じて横になったまま、自分がなぜ倒れているのかをゆっくり考えてみる。
(そうだ。事故があったんだよ。天井のライトが落ちてきたんだ。結構な大ごとだったと思うけど、私別に、どこも痛くないんじゃない?)
少しずつ感覚が戻ってきて、そこまで思い至ったところで目を開けた。
そして、予想していたのとは違う景色に、一瞬頭が真っ白になった。
まず床が石造りだった。床だけじゃなくて壁もだ。広々とした大きな空間で、ギリシャ神殿で見るような白い柱が高い天井まで続いている。
そして周りに人がいない。スタジオ内にはたくさんの人がいたはずなのに。
(先生は? スタッフさんは? どこに行ったの?)
居るのはふたりだけだ。しかも、格好がキテレツ。
ひとりは、栗色の髪にあまり特徴のない顔。白い布を巻き付けただけのような体のラインの見えない服に、白いまっすぐに伸びた山高帽をかぶっている。
もうひとりは、長い銀髪。こちらは目を見張るような美形だ。服も、ヨーロッパの王様が着ているような、ごてごてした貴族服を着ている。人を選びそうな服だか、それに負けない派手な顔だ。
(……何かの番組の収録現場ですか、ここは)



