「ああ。イズミのドレスに刺繍をいれる仕事を頼んでいた。母上と姉上にも協力してもらって、まずドレスを揃えてもらってな。それから刺繍を頼んでいたんだ。今日は仕上がりを見せてもらって……」
そして彼は、顔を真っ赤にさせる。
「その、……気に入ってもらえるだろうか」
「……嬉しいです」
いずみはフレデリックにそそのかされて、浮気を疑ったことを後悔した。
こんなに自分のことを考えてくれる人を、いずみは知らない。他に知らなくてもいい。
いずみにとって、アーレスはただ一人の人だ。
「ただ見せるだけにしちゃ、時間長くなかったですか?」
目を皿のようにして見つめるフレデリックを、アーレスはじろりとにらむ。
「刺繍を追加で頼んでいたんだ。大体、お前は訓練の時間じゃないのか」
「だ、団長こそ」
「この時間はルーファスに任せてある。さっさといけっ」
「はっ、はいぃ」
フレデリックが慌てて出ていき、部屋にはいずみとアーレスふたりが残される。
アーレスはいずみをソファに座らせ、その上にドレスを乗せる。
「似合うと……思う。これも」
重ねて渡されたのは、布で出来たチョーカーだ。
ドレスの裾にあしらわれたのと同じ刺繍が施されており、裏側にはこの世界の文字で刺繍がされている。
【愛しい妻・いずみへ捧ぐ】
捧げられた愛の文句が、ほんの数分前に作られたものなのだとイズミにも分かった。
そして彼は、顔を真っ赤にさせる。
「その、……気に入ってもらえるだろうか」
「……嬉しいです」
いずみはフレデリックにそそのかされて、浮気を疑ったことを後悔した。
こんなに自分のことを考えてくれる人を、いずみは知らない。他に知らなくてもいい。
いずみにとって、アーレスはただ一人の人だ。
「ただ見せるだけにしちゃ、時間長くなかったですか?」
目を皿のようにして見つめるフレデリックを、アーレスはじろりとにらむ。
「刺繍を追加で頼んでいたんだ。大体、お前は訓練の時間じゃないのか」
「だ、団長こそ」
「この時間はルーファスに任せてある。さっさといけっ」
「はっ、はいぃ」
フレデリックが慌てて出ていき、部屋にはいずみとアーレスふたりが残される。
アーレスはいずみをソファに座らせ、その上にドレスを乗せる。
「似合うと……思う。これも」
重ねて渡されたのは、布で出来たチョーカーだ。
ドレスの裾にあしらわれたのと同じ刺繍が施されており、裏側にはこの世界の文字で刺繍がされている。
【愛しい妻・いずみへ捧ぐ】
捧げられた愛の文句が、ほんの数分前に作られたものなのだとイズミにも分かった。



