「聖女……」
王都に現れ、さまざまな施策で国を立て直しているという聖女は、黒髪に黒目の女性だという。
アーレスは迷わず彼女をミヤ様だと思った。
そして、救われた命をミヤ様のために使おうと誓った。
だが彼は今、そのときと同じ声を彼の妻から聞いたのだ。あのときと同じように心臓が震える。
「俺の聖女は、……イズミだったのか」
いずみもにわかには信じられない。
だけど、こうして言っていることが合致している以上は、認めざるを得ない。
「あのあと、すぐにオスカー様の声に呼び出されて……次の瞬間には神殿にいたんです。でもまさか……だってそんな……」
だけど、世界さえ超えてきたのだ。どの時間軸に落ちるのかも選択次第だったのかもしれない。
見つめ合うふたりの邪魔をするように、間の抜けた声で入ってきたのはフレデリックだ。
「団長ー! 窓から落ちたドレス持ってきましたけど」
「え? ドレス?」
「バカ、フレデリック。それは……」
それはカラフルな刺繍が施されたドレスだった。そしてその刺繍飾りには見覚えがある。アーレスから贈られて、今まさにつけている髪飾りと同じ模様だ。
「……見られては仕方ないか。これは君への贈り物だ。その、姉上に妻にドレスのひとつも贈らない男なんて夫じゃないとまで言われて……その、だが君に似合うものと思うと、俺にはどうしてもその刺繍以外に思いつかなくてな」
「じゃあ、もしかしてさっきの女性って、リリカ村の職人っすか?」
フレデリックは職人を知っているようだ。
王都に現れ、さまざまな施策で国を立て直しているという聖女は、黒髪に黒目の女性だという。
アーレスは迷わず彼女をミヤ様だと思った。
そして、救われた命をミヤ様のために使おうと誓った。
だが彼は今、そのときと同じ声を彼の妻から聞いたのだ。あのときと同じように心臓が震える。
「俺の聖女は、……イズミだったのか」
いずみもにわかには信じられない。
だけど、こうして言っていることが合致している以上は、認めざるを得ない。
「あのあと、すぐにオスカー様の声に呼び出されて……次の瞬間には神殿にいたんです。でもまさか……だってそんな……」
だけど、世界さえ超えてきたのだ。どの時間軸に落ちるのかも選択次第だったのかもしれない。
見つめ合うふたりの邪魔をするように、間の抜けた声で入ってきたのはフレデリックだ。
「団長ー! 窓から落ちたドレス持ってきましたけど」
「え? ドレス?」
「バカ、フレデリック。それは……」
それはカラフルな刺繍が施されたドレスだった。そしてその刺繍飾りには見覚えがある。アーレスから贈られて、今まさにつけている髪飾りと同じ模様だ。
「……見られては仕方ないか。これは君への贈り物だ。その、姉上に妻にドレスのひとつも贈らない男なんて夫じゃないとまで言われて……その、だが君に似合うものと思うと、俺にはどうしてもその刺繍以外に思いつかなくてな」
「じゃあ、もしかしてさっきの女性って、リリカ村の職人っすか?」
フレデリックは職人を知っているようだ。



