気付いたら、視線の内に何時でもキミがいて、柄にもなくドキドキと胸を高鳴らせた。


自分の周りいるような、甘ったるい香水の匂いも、無駄に長い爪もない、何処から見ても、無垢なヒト。


咄嗟に、他の誰かに取られる前に…どうにかして、自分のものにしてしまいたかった。


「好きです、付き合って下さい」


唐突にぺこり、と頭を下げてそう言った俺に、困り顔の彼女。


「柏木さんしかみえないから」


必死になってそう言うと、少し悩んだ後で、小さく「はい」と頷いてくれた。


それでも上手く拭えない不安。
何時からこんなにへたれになったのかと自嘲したくなるくらい、彼女に関してはダメ過ぎて、溜息が出た。