極愛恋情~敏腕CEOに愛し尽くされています~

 店舗が落ち着いたのは、昼の二時過ぎ。
 スタッフだれひとり休憩に入れていない。私はまず、アルバイトの子を休憩に促した。

 少し様子を見て、三十分くらいの時間差でもうひとり休憩に入れよう、と店内を眺めて考えていたら、松本さんが視界に入る。
 肩下のセミロング丈の髪をまとめていた彼女だったが、忙しかったせいか若干乱れている。

「松本さん。髪がちょっと解けてる。嫌じゃなければ、ぱぱっと直してあげるよ」
「えっ。本当ですか? うれしい! お願いします」
「や、応急処置程度だよ。あまり期待しないで」

 売り場にお客さんがいないのを確認し、月島さんにひとこと断って裏に行く。私は手早く鞄からヘアアイロン出して、コンセントに差した。

「瀬越さん、ヘアアイロン持ち歩いてるんですか?」
「ほとんど使わないんだけどね~。でも、なにかあったときの保険っていうかね。持ってると安心するから」

 笑って話しつつ、美容師の真似事をする。

 言っても私は素人で、自己流のやりかただけど。

 今日の松本さんの服は、白黒の細めボーダーシャツに、ベージュのバギーパンツ。シンプルな印象だから、髪型にちょっとだけアクセントをつけてみようか。

 髪全体を緩く巻き、ルーズに編み込んでハーフアップにする。そして、鞄からヘアピンを取り出した。

「すごいピンがたくさんですね!」
「もう集めるのが趣味みたいな感じなんだ」

 形もさることながら、色やワンポイントなどいろいろなピンがある。
 今回は、ゴールドのシンプルなアメピンをランダムにつけて、一本だけパールがついたピンを差す。