極愛恋情~敏腕CEOに愛し尽くされています~

 帰宅してからも、気持ちが落ち着かない。

 時刻は夜十時。織から、【もうすぐ着くよ】と連絡があった。織に会いたい。
 でも、会うのが怖い。

 ハンナさんの言葉の刃が、胸に刺さったまま抜けない。

 この状態で、私ちゃんと織と向き合える……?

 そわそわとしていると、鍵が開いた音がした。ドキッとして、肩を上げる。
 玄関が見える位置まで歩み寄り、帰ってきた織の姿を目に映す。

「麻結。ただいま」
「お、おかえり」

 普通に接しようと思えば思うほど、ぎこちなくなってる気がする。

 私は織となるべく顔を合わせないようデスクに向かう。ノートパソコンを開きながら、早口で言った。

「私ちょうど今、お風呂もご飯も済ませたし、ちょっと仕事するね。織のご飯、キッチンにあるよ」
「仕事?」
「う、うん。書類内容確認して、メールしなきゃいけないのがあったりするから」
「そっか」

 今の不自然じゃなかったよね……? 仕事があるのは本当。だけど、織を避けようとしていることもまた事実。

 とりあえず織は、すぐにバスルームへ入っていった。束の間、私はひとりきりの部屋で気持ちを落ち着かせて、仕事に集中する。

 すると、十数分後、シャワーを浴び終えた織が半裸の状態で戻ってきた。

「うわ。文字ばっか。眠くなりそ」

 肩越しにディスプレイを覗き込む織の毛先から、ぽたぽたとしずくが落ちる。

「わあ、織! ちょっと! ちゃんと頭拭いてっ。パソコンが濡れ……」

 慌てて振り返り、織を仰ぎ見た瞬間、髪を掬い取られる。