極愛恋情~敏腕CEOに愛し尽くされています~

 昨夜は宣言通り早めに帰宅してきた織だったけれど、疲れていたのかわりとすぐに寝てしまった。
 私もハンナさんに言われたことがずっと胸にひっかかっていたから、織に対して不自然な態度を取ってしまいそうだったし、ちょうどよかったのかもしれない。

「ごちそうさまでした」

 織が両手を揃え、軽く頭を下げる。

 付き合うことになってから、狭いテーブルで向かい合って食事をするだけで緊張する。
 ハンナさん『説得して』と言われたものの、そう簡単に切り出せない。

 織が準備を済ませている間、私は考え事のせいで、まだもたもたと食事をしていた。

「麻結。時間大丈夫? 俺はそろそろ出るよ」
「あっ、待って」

 私は食べかけの朝食を置いて立ち上がり、玄関へ向かう織の背中を追いかける。

「これ、合い鍵……。持ってたほうがよくない?」

 昨日の感じだと、たぶん私のほうが先に帰宅することが多いんだろうけれど、私もなにがあるかわからないし。寝落ちだってしちゃうかもしれない。

 深く考えることもせず、単に合理的だと思ってキーを渡しただけだった。
 しかし、キーを受け取った織のうれしそうな表情を見て、ドキッとする。

 織は私の手を引き、軽く抱きしめた。

「ありがと」

 もう一度、照れるようにはにかむ織の顔が見たい。

 そう思ったけれど、織自身それを自覚していたせいか、身体を離すとすぐに出て行ってしまった。