「Bonjour! マユ。よろしくね」
「はい。よろしくお願いします」
初めて会ったときと同様、彼女は明るくてフランクに接してくる。しかし私は、まだ緊張を緩めることはできずにいた。
だって、彼女も〝Sakura〟のデザイナー。
〝Sakura〟のデザイナーは織とハンナさんのふたりだけ。
織はメンズ担当で、ハンナさんはレディース担当だと記事で読んだことがある。
つまり、〝Sakura〟の半分はハンナさんで形成されている。それって、すごいことだ。
ハンナさんと向き合っていると、彼女の目がちらっとデスクに動いた。
「マユはデザイナーではなかったのね。セールス?」
「あ、私は営業で……店舗の管理を任されています。私の担当店舗は五つで明日はそのうちの二店舗へ出向きますが、ハンナさんのご都合は……」
「シキが影響される子っていうくらいだから、てっきり同職だと思ったのに」
突如、いままでとは違う低い声色で言われ、心臓が嫌な音を立てる。
なんか……今の言い方は見下された気がしたけど、気のせいかな。
「あ……私は不器用なので……し――佐久良さんを尊敬してます。いろいろな服を考えてそれを作れるってすごいです。もちろん、ハンナさんも」
不安な気持ちを押し隠し、笑顔で答える。
その間、彼女は少しも笑わず、私の全身を上から下まで観察し始める。再び目が合った瞬間、彼女が言った。
「ねえ。もしかして、織から服をもらったりした?」
「え? 今日の服は違いますけど……」
「今日はってことは、もらったんだ」
「も、もらったっていうか……ちょっと借りたりして」
鋭い指摘にどぎまぎする。
織の服を着たのは二回。一度目のときに、織が「あげる」って言ってはいたけれど、気軽に受け取れない気がして、はっきりと『もらった』とは答えられなかった。
「はい。よろしくお願いします」
初めて会ったときと同様、彼女は明るくてフランクに接してくる。しかし私は、まだ緊張を緩めることはできずにいた。
だって、彼女も〝Sakura〟のデザイナー。
〝Sakura〟のデザイナーは織とハンナさんのふたりだけ。
織はメンズ担当で、ハンナさんはレディース担当だと記事で読んだことがある。
つまり、〝Sakura〟の半分はハンナさんで形成されている。それって、すごいことだ。
ハンナさんと向き合っていると、彼女の目がちらっとデスクに動いた。
「マユはデザイナーではなかったのね。セールス?」
「あ、私は営業で……店舗の管理を任されています。私の担当店舗は五つで明日はそのうちの二店舗へ出向きますが、ハンナさんのご都合は……」
「シキが影響される子っていうくらいだから、てっきり同職だと思ったのに」
突如、いままでとは違う低い声色で言われ、心臓が嫌な音を立てる。
なんか……今の言い方は見下された気がしたけど、気のせいかな。
「あ……私は不器用なので……し――佐久良さんを尊敬してます。いろいろな服を考えてそれを作れるってすごいです。もちろん、ハンナさんも」
不安な気持ちを押し隠し、笑顔で答える。
その間、彼女は少しも笑わず、私の全身を上から下まで観察し始める。再び目が合った瞬間、彼女が言った。
「ねえ。もしかして、織から服をもらったりした?」
「え? 今日の服は違いますけど……」
「今日はってことは、もらったんだ」
「も、もらったっていうか……ちょっと借りたりして」
鋭い指摘にどぎまぎする。
織の服を着たのは二回。一度目のときに、織が「あげる」って言ってはいたけれど、気軽に受け取れない気がして、はっきりと『もらった』とは答えられなかった。



