極愛恋情~敏腕CEOに愛し尽くされています~

 しゅるしゅるっと、布が動く音が聞こえたのも束の間。すとん、と止まった生地は私の足を隠す長さになっていた。

「え……。いったいなにが起きたの……?」

 一瞬の出来事で理解できない。さっきまで私が着ていた服はダークブルー一色の膝丈ワンピース。

 しかし今、私の瞳に映っているのはオフホワイトのミモレ丈の裾。
 横の窓に目を向け、まじまじと自分を見る。

 ホルターネックのバイカラーワンピース。
 ラップスカート仕様になっていて、動くと生地がふわりと揺れて、裏地が散ら見えする。

 どうやら、裏になったのはさっきまで表面になっていた部分みたい。

 ということは、つまり裾を折りたたんで、うまくもう一着のワンピースに細工していた……?

「魔法だよ。なんてね」

 私が茫然と立っていると、織が背後から耳元にささやいた。
 反射で耳を押さえ、勢いよく振り返る。

「何度も試作を重ねた一着。うまくできてよかった。びっくりした?」
「もうなんか……頭がついていかない」
「はは。その表情見たら満足した」

 どれだけ私を驚かせたら気が済むの。織はこっちに戻ってきてから、次々と私を翻弄する。

 織はなにかを思い出したように続けた。

「あ、今の嘘。まだ満足してない」

 熱を帯びた頬をどうにか冷まそうとしていた矢先、手を取られる。
 そのまま私は、指先に軽く口づけられた。

「その服を着た麻結を俺にエスコートさせて」

 見える景色がチカチカと光る。

 まるで童話だ。こんな日を迎えるなんて、過去の私は微塵も想像しなかった。