極愛恋情~敏腕CEOに愛し尽くされています~

「前にも言った。今の俺は、麻結がいて存在するんだって。そうしたら、すごいのは麻結だろ」

 私にはわかる。織のセリフがこの場を凌ぐだけのものではないことが。

「それ、前言われたときも思ったけど、よくわかんないし」

 わかっても、理解できるかどうかは別の話。
 面倒くさくて可愛げがないって思われるだろうな。

 そう考えていたら、案の定、織が軽くため息をついた。

 これであきれられたのなら、それでいいのかもしれない。
 私が織を選んだ時点で、遅かれ早かれ通る道だったはずだから。

 自分に活を入れ、真っ向から織と向き合う。すると、いきなり頬をつねられた。

「痛っ」
「まあいい。だけど、覚えておけよ」
「え?」

 細めた目で織を見る。

 彼の顔は、煩わしいだなんてまるで感じていないもの。
 それどころか、楽しそうにさえ思えた。

 織は頬から手を離し、私の顎を上げて両目を覗き込む。

「麻結が自分をどう思っていても、俺はそんな麻結が世界で一番大事だってこと」

 織の言葉はすぐには胸に落ちて来ず、放心する。じわじわと言われた意味が心に染み渡る。

 たとえセンスや運や能力がなくっても、仕事もいまいちだったとしても、私のことを認めてくれる人がいる。

 織といたから、これまでも私は前を向いて来られたのかもしれない。

「……ふ。キザ」

 涙目で笑ってつぶやいた。直後、織がさりげなく顔を近づけてくる。
 私はそれを両手で阻止した。

「なにすんだよ」
「ろ、路チュー厳禁! ここ日本! 大体、もう学生でもないんだから」

 本当、油断も隙もない。

 私が注意して距離を取ると、織は小さく舌打ちしたあと、片手を差し出してきた。

「日本は手を繋ぐのもだめだっけ?」

 織に嫌味交じりに言われ、笑った。
 そして、私は織のすらりとした手に掴まって、再び隣に並んで織と歩いた。