極愛恋情~敏腕CEOに愛し尽くされています~

 それにしても、一歩離れたところから織を見るって今まであまりなかったから、変な感じ。
 元々、人に群れないタイプだったから余計だ。

 今日なんて、たくさんの人に囲まれていたのに織は笑って、話も弾んでいたみたいで……。
 もう完全に私の助けなんかいらない感じ。

 そりゃあそうだよね。織だって大人になったんだから。

 ため息交じりで個室へ戻る途中、誰かが廊下に立っていて、ゆっくり顔を上げた。
 壁に寄りかかって腕組をしている井野さんを見て、体調不良を押し隠して笑顔を浮かべる。

「お手洗いなら、この先を……」
「いや……。見たら瀬越が席にいなかったから」
「あ、すみません。ちょっとお手洗いに……」

 井野さんは「そっか」と答えたあと、しばしの間、黙った。

 私は先に戻っていいのかわからず、困惑する。
 お酒のせいか、頭も回らなくてただその場に立っていると、井野さんが口を開いた。

「昨日はごめん!」

 勢い任せに謝られ、目を白黒させる。

「勤務中に突然告白してさ……。本当は、新店オープンが落ち着いてからって思っていたんだけど、佐久良さんが現れて、なんかすごく焦って」

 言われて、昨日のことを思い出した。

 一緒に食事に行こうって誘われたときまでは、そのことばかり意識していたのに、ここで織と鉢合わせしてからは、すっかり頭から抜け落ちていた。

「あ……ええと」

 心の準備もしていなくて、しどろもどろになっていると、井野さんは私に近づいてきて真剣な目を向けてくる。

「俺、本当に瀬越のこと……」