極愛恋情~敏腕CEOに愛し尽くされています~

 全員お酒が進み、初めは堅苦しかった雰囲気も今ではわいわいとにぎわっている。

 井野さんは吹っ切れたのか、織が中心となる輪に入って、お酒を飲んでいる。

 私はというと相変わらず同じ席にいて、飲み物が空いている人を気にして、追加オーダーを店員に伝えたりしていた。
 すると、ふいに開発部の男性ひとりが地酒を手にやってきた。

「瀬越さん、人のことばっかり世話して。ちゃんと飲んでる?」
「あ、はい。大丈夫です」
「これ、飲んでみなよ! すっごい飲みやすいからさ!」

 そう言って、意気揚々と私のグラスに地酒を注ぐ。
 私が飲むのを待っているみたいで、致し方なくお酒を口に含んだ。

「ありがとうございます。私はもうこれで十分なので……」
「いやいや。この店は地酒が売りなんだから。あ、これもまたスッと飲めるよ」
「は、はい」

 本当は、お酒自体あまり得意ではない。付き合いで一、二杯飲むくらい。
 でも、こう一対一で言われてしまうと断ることもできず、つい無理をする。

 結局、お猪口で三杯飲み、満足したのか彼はまた別の人に話しかけて離れていった。

 うーん……ちょっとやばそう。時間をかけて飲んだならまだしも、短時間に慣れないものを飲みすぎて……具合が悪い。
 周りを見ると、それぞれ盛り上がっている。私が少し抜けたところで問題なさそう。

 私はこっそり個室から出て、化粧室へ向かった。
 数分休んでみたものの、やはり体調は変わらない。

 腕時計を見る。ここへ来てから、もうすぐ二時間。

 そろそろ、お開きになるよね。二次会はありそうだけど、元々私はおこぼれで参加できたようなものだし、一次会だけで帰ろう。

 あと少し、と自分を励まし、化粧室を出る。