極愛恋情~敏腕CEOに愛し尽くされています~

「えー。まさか、井野が言ってたほかの約束って、瀬越さんだったの? ふたりってそういう関係?」

 揶揄するように言われ、咄嗟になにも答えられずにいると、横からすっと人影が現れて顔を上げる。

「こんばんは。来てくれてうれしいよ」

 織……!

 余所行きの微笑から目が離せない。

 織は私が今日の食事会を一度断ったことを知っているはず。
 そのせいで、とても気まずい。

「ほら。そこのふたりも一緒でいいんでしょ? 席に移動するよ!」

 そこに、鞍元さんの声が飛んできた。
 井野さんに目配せをすると、小さく「ごめん」と謝られた。

 結局合流することになった私たちは、広い個室に案内された。

 私は遠慮がちに下座に着く。隣は井野さん。
 織はと言うと、もちろん一番遠い上座のほうに促され、座っている。

「失敗したな……。まさかここでバッティングするなんて」
「あ、やっぱり井野さんも声をかけられてました?」
「も? ってことは、瀬越も?」
「ええ。企画発案者だから、わざわざ声をかけてくれたみたいで」

 私に声がかかって、井野さんにかからないわけないとは思っていた。

 井野さんと待ち合わせしたあと、鞍元さんから電話がきたことを言おうか迷っていたけれど、すぐにこの店に着いちゃって話すタイミングがなかったから……。

 すると、井野さんは頭を掻いて、ため息をついた。

「ちょっと付き合って、隙みて抜けるか」
「え。だけど、井野さんは開発部の一員ですし、今日はもうこのままいたほうがいいんじゃ……」

 さすがにこういう場から、ふたりで抜けちゃうのはいろいろと勘繰られそう。
 それにオフィス外であっても、この場は仕事の一環だろうし。

 私が意見すると、井野さんはまた息を吐いて、「そうだよな」とため息交じりにつぶやいた。