接客をしながら店内のレイアウトを考え、ときどき他店の売上状況もチェックしたりして過ごしていたら、あっという間に一日が終わる。
スタッフを全員帰宅させ、メールチェックをしていたら、スマホが鳴った。
瞬間、織が頭に浮かぶ。
私はディスプレイを見て、すっかり織だと思い込んでいたことが恥ずかしくなった。
でも、それを悟られないよう、一度大きく息を吸って何事もなかったかのように電話に出る。
「瀬越です。お疲れ様です」
『あ、お疲れ。まだ店?』
聞こえてきた声は、井野さんのもの。
よくよく思い出せば、井野さんとは、あれから話をしていない。
「はい。でも、もうすぐ帰りますけど……」
『直帰なら、俺そっち行くから、ご飯一緒にどう?』
「えっ」
急な誘いに、咄嗟に声を漏らしてしまった。
気まずい気持ちで口を噤むと、井野さんは苦笑して言った。
『その……ちゃんと話したいしさ』
「は、はい。わかりました……」
通話を終えても、妙な緊張感に襲われていて心が落ち着かない。
そわそわとして、残りの仕事に手を付けられずにいると、再びスマホが私を驚かせる。
危うく手から滑り落としそうになったスマホに目を落とした。発信元は会社だ。
「はい。瀬越ですが……」
こんな時間に会社から連絡っていうことは滅多にないから、何事かと背筋を伸ばして応答する。
『あっ、瀬越さん? 鞍元です。お疲れ様ですー』
「え! く、鞍元さん!?」
鞍元さんは、デザインからパタンナーの仕事までこなせる憧れの存在だ。
残念ながら不器用な自分には向いていない、と私があきらめた仕事。
「なにかありましたか?」
私が尋ねると、鞍元さんは明るい声音で答えた。
スタッフを全員帰宅させ、メールチェックをしていたら、スマホが鳴った。
瞬間、織が頭に浮かぶ。
私はディスプレイを見て、すっかり織だと思い込んでいたことが恥ずかしくなった。
でも、それを悟られないよう、一度大きく息を吸って何事もなかったかのように電話に出る。
「瀬越です。お疲れ様です」
『あ、お疲れ。まだ店?』
聞こえてきた声は、井野さんのもの。
よくよく思い出せば、井野さんとは、あれから話をしていない。
「はい。でも、もうすぐ帰りますけど……」
『直帰なら、俺そっち行くから、ご飯一緒にどう?』
「えっ」
急な誘いに、咄嗟に声を漏らしてしまった。
気まずい気持ちで口を噤むと、井野さんは苦笑して言った。
『その……ちゃんと話したいしさ』
「は、はい。わかりました……」
通話を終えても、妙な緊張感に襲われていて心が落ち着かない。
そわそわとして、残りの仕事に手を付けられずにいると、再びスマホが私を驚かせる。
危うく手から滑り落としそうになったスマホに目を落とした。発信元は会社だ。
「はい。瀬越ですが……」
こんな時間に会社から連絡っていうことは滅多にないから、何事かと背筋を伸ばして応答する。
『あっ、瀬越さん? 鞍元です。お疲れ様ですー』
「え! く、鞍元さん!?」
鞍元さんは、デザインからパタンナーの仕事までこなせる憧れの存在だ。
残念ながら不器用な自分には向いていない、と私があきらめた仕事。
「なにかありましたか?」
私が尋ねると、鞍元さんは明るい声音で答えた。



