極愛恋情~敏腕CEOに愛し尽くされています~

「それはそうと、こんなに離れた場所にいる麻結が〝Sakura〟を見つけてくれたのはうれしかったな」

 私はものすごく驚いた。
 織が本当にうれしそうに顔をほころばすから。

 こんなにわかりやすく喜ぶ織は、いつぶりだろう。

 もうずっと前で、記憶もおぼろげな……ああ。きっと、六歳のころだ。
 あの、私が自分の服に飾りをつけてってお願いしたとき。

 私が褒めたら、今と同じ笑顔をしていた。

「ここだけの話、企画書が突然送られてきたときは、忙しいし読む暇も惜しかったんだけど、差出人が日本人からだったから。そうしたら、名前が麻結で驚いたよ」

 私は織の話に引っかかって、尋ねる。

「ねえ。やっぱり、今回のことは私からだってわかったから引き受けてくれたんじゃないの……?」

 今日、井野さんの前では『企画書に惹かれたから』と説明してくれはしたけれど、今になって自信がなくなってきた。

 おずおずと織を見ると、「ははっ」と軽く笑われた。

「昔から変わらない。麻結の『好き』とか『楽しい』っていう気持ちが詰まってた。それに惹かれた。あれが名無しでも、俺は同じように動いていたと思うよ」

 確かに企画書は私の思いの丈を込めた。社交辞令とかそういうのは一切抜きで、なんなら〝SPIN〟の社名すら忘れて、ひとりの女として気持ちを詰め込んだ。

 だからこそ、それを幼なじみである織が読んだのかと思うと、ものすごく恥ずかしい。