極愛恋情~敏腕CEOに愛し尽くされています~

「織はいつから〝Sakura〟を任されていたの?」

 織の表情が変わった。ゆっくりと瞼を伏せ、静かに語りだす。

「二十四だったから、二年前くらいかな。あっちで起業するとなると、ただデザイン描いていればいいわけじゃなくいろいろと面倒な手続きがあって。悩んでたら、ノエルが俺にブランドを造らせてくれたんだ」
「造らせてくれたって……」

 それってものすごいことだよね? 店をひとつあげちゃうようなものだもの。
 織はそのくらいノエル氏に信頼をされているということだ。

「本当はすべて自力で叶えてやるって思っていたけど、俺は法律とか国籍とかまで考えてなかったから」

 織の力強い瞳に圧倒される。

 私、フランスに行くまでずっと一緒にいたのに、織のこんな熱い思いに気づいていなかった。

 織はこんなにも、今の仕事に誇りと情熱を持っているんだ。

 織は悔し気な声から一変し、柔らかな表情で続ける。

「でもノエルには感謝してる。言葉通り、俺になにもかも任せてくれてる。だから、俺は俺のわがままを突き通せている」
「わがまま?」

 私が首を傾げると、織はニッと笑う。

「そう。それだけは絶対に譲れない、俺のわがまま」

 その勝気で、少しやんちゃな目に無意識に心を奪われる。

 再会してから知る織の一面が、また増える。
 同時に、妙に動悸がしてしまって、変な感じ。