極愛恋情~敏腕CEOに愛し尽くされています~

「強引なやり方で戸惑わせただろ。ごめん。でも、こんな機会そうそうないと思ったから」

 織は進行方向をまっすぐ見ながら言った。つい織を向いてしまった私も、すぐに前に向き直る。

 さらに一歩、歩みを進めたとき。

「俺たちの将来を約束する意味で……このプレウエディングに付き合って」

 織のやや緊張気味な低い声が聞こえてきた。我慢ができず、私はもう一度織の横顔を窺う。
 すると、再会してからいつも余裕な顔を見せていた織が、ちょっと固い面持ちで頬を赤らめていた。

 そんな表情、初めて見た。

 織の真剣な想いがじわじわと伝わってきて、胸の奥がきゅうっと締めつけられる。

 私は祭壇に到着する直前にぽつりと返す。

「……バカ。ここまで来たら、断る選択肢なんかないじゃない」

 織がうれしそうに顔を綻ばせるものだから、私の心臓はさらに早鐘を打った。

 そうして、ふたりで足を揃え、神父がいない祭壇上のステンドグラスの窓を仰ぎ見る。
 参列していたときと違った景色に、目の前がキラキラしていた。

 織がゆっくり私のほうを向き、粛々と告げる。

「私、佐久良織は、今もこれからも来世も、瀬越麻結を愛し続けることを誓います」
「……来世って」

 照れ隠しもあり思わず突っ込みを入れるも、織はいたって真剣だ。
 私も気持ちを引き締め、端正な顔立ちの織を見上げる。

「私、瀬越麻結は佐久良織を……世界で一番、愛してます」

 言い終わるや否や、ブーケも気にせず織に抱きついた。

 誰もいない神聖なる場所で、神様だけが見守る中、私たちはそっと誓いのキスを交わす。

 時折視線を交わしては、再び口づけを重ね合った。