極愛恋情~敏腕CEOに愛し尽くされています~

「麻結」

 背後から呼ばれて肩を上げた。

「し、織……!」

 気づかぬうちに、織がいたみたい。私は人前で名前を呼ばれたことも気づかず、織の突然の登場にただ驚いていた。

 織は私の隣に立ち、佐渡さんと向き合う。

「初めまして。佐久良織です。今回は僕たちの問題にもかかわらず、お力を貸していただき本当に感謝しています」
「あ、いえ。私は佐久良さんと比べたら全然……。今も壁にぶち当たってしまって、これ以上は……」

 織は佐渡さんが持っているドレスを一瞥し、私を見た。

「ありがとう。ここからは俺がやる」
「えっ。でも織は作れないって……」
「いいんだ。麻結や彼女が頑張ってくれたものを無駄にするわけにはいかない」

 織からは迷いは一切感じられなくて、澄んだ瞳だった。
 私は佐渡さんがいる前だというのも忘れ、織に意識を奪われる。

「それに麻結がイメージしたものは俺なら違わず表現できる。信じて」

 信じられないわけがない。
 織はこれまでずっと、私のお願いや約束を守ってきてくれた。

「ええと、佐渡さん……でしたっけ。このあとは僕に任せてもらえませんか? 横取りみたいで失礼なのは重々承知しています。だけど、状況が状況なので」
「はい。ただ使える生地はそこにあるものしかないのですが……」
「ですよね。急な話だったのにこれだけ用意できるほうがすごいんじゃないですか?」
「これは瀬越さんが材料部や繊維会社に頭を下げて持ってきてくれたんです」

 ふたりの目線が一斉に私に向く。織が柔和な面持ちで口を開いた。