極愛恋情~敏腕CEOに愛し尽くされています~

 一日経って、私は自分の日常の仕事を急ぎで終わらせた後、コーヒーと軽食を持って佐渡さんのいる制作室へ向かう。

 佐渡さんが一生懸命仮仕立てをしてくれている間、生地をどうにか手配し終えた私にはもうなにも役立てなくてもどかしかった。

 私はせめて雑用があるときにすぐ手伝うべく、昨夜も今日も佐渡さんのそばにいた。

「お疲れ様です。よければ、サンドイッチとコーヒーを持ってきましたので召し上がってください」

 昨日早々にパターンを作成した後から、ずっとミシンの前に座っている佐渡さんは私の声にも反応しなくなっていた。

 余程集中しているのだと思い、それ以上声をかけることはせず、そっと後方のテーブルに差し入れを置いた。

「ダメだ」

 そのとき、佐渡さんがぼそりとつぶやいた。
 彼女の声は到底明るいものじゃなく、私も恐る恐る聞き返す。

「え?」

 すると、佐渡さんはくるりと椅子を回転させ、ドレスを手にして言った。

「どうしてもここがうまくいかない」

 佐渡さんの視線の先に目を落とす。
 天使みたいなソフィアさんをイメージした、バッグデザインの要の部分だ。

 肩甲骨から本物の羽が生えているように見せるデザイン。

「背中から裾までふわりと波打って広がっていくイメージ画を上手く象れない。使える生地の種類も限られてる。それなりに見えるようにはしたけど、あの人が納得するとは思えないんだ」
「そ、そうなんですか……」

 佐渡さんは全力を尽くしてくれた。
 素人が描いたデザインを時間がない中、できる限り忠実に再現しようと試みてくれたのはひしひしと伝わっている。

 しかし、佐渡さんからやるせない思いが漂っているのを目の当たりにすると、私も簡単に『仕方ないですよ』とか『十分素晴らしいですよ』とか口にするのは憚られた。

 少しの間、しんと水を打ったように静まり返る。