極愛恋情~敏腕CEOに愛し尽くされています~

 デザインを描いて終わりだと思っていた。それをソフィアさんに気に入ってもらえたなら、最高の終わり方を迎えられる、と。

 だけど違う。服は紙の上に描かれたものを見て満足するんじゃない。
 それを実際に見て、袖を通して初めて満たされるのだ。

 私はソフィアさんに手を差し出した。
 彼女は私の至極真剣な顔を見て、凛としてスケッチブックを返した。

 私はスケッチブックを受け取って、口を開く。

「材料部にすぐ掛け合ってみます」
「いや、瀬越さ……」
「すみません、佐渡さん。この五日間迷惑をおかけしておいて、こんなお願いをするなんて常識外れだって思われるのは承知です。でも、どうか力を貸していただけませんか」

 私には服を作ることはできない。
 誰かに手伝ってもらわなければ成し遂げられないものなんて、さっさとあきらめるべきなのかもしれない。……だけど。

「私にできることならなんでもやります。私もこのドレスを見てみたい。できるなら、ソフィアさんが身に纏うところまで」

 こんな機会は私の人生のうち、最初で最後。
 もしも、うまくいけば……小さかった私の夢は叶えられる。

 そして、織がいつも見てる景色を一瞬だけでも見られるかもしれない。

「部長。今週末までの仕事、少し遅らせてもいいですか?」

 佐渡さんが部長にかけた言葉に希望が光る。

「あ、ああ」

 部長の返事を聞き、佐渡さんがふたたび私に向き合った。

「乗り掛かった舟だ。やるよ」

 佐渡さんの自信に満ちた笑顔に、胸の奥が熱くなる。

「あ、ありがとうございます……!」

 私は深く頭を下げて、すぐさま材料部へと駆け出した。