極愛恋情~敏腕CEOに愛し尽くされています~

 なんとなく持ってきたはいいものの、やっぱり佐渡さんの許可もなしに自分の閃きだけでデザインを変更するのはよくない。
 そう思って、直前にトレーシングペーパーは別室に置いてきたはず。

 今日早めに合流して最終チェックをしていた佐渡さんは、これに気がついていたんだ。

「It's amazing!(ステキ)」

 刹那、ソフィアさんが興奮気味に声を上げた。私はびっくりして目を見開く。

 彼女は私の両腕を掴み、ぺらぺらと英語を並べ続ける。
 なにを言っているかさっぱりだけど、ソフィアさんが私に向ける瞳はキラキラしていて彼女の気持ちは伝わってくる。

 彼女ははっと気づいて、ふたたび日本語を口にする。

「パターンはすぐできる? このドレス、二日後までに仮仕立てしてほしい。ソフィーサンプルみてみたい!」

 ソフィアさんの発言に全員が絶句した。

 彼女が気に入ってくれた喜びの驚きで言葉を失っているのは部長や宣伝部の人たち。しかし、私と佐渡さんは違った。

「二日後って……さすがに厳しいですよ。シンプルな洋服ならまだしも、ウエディングドレスなんて」

 さすがの佐渡さんも、戸惑いを隠せなかったみたいだ。

 普通のジャケットでも型紙であるパターンを起こし、縫製するまで丸一日はかかるはず。

 今回はよりにもよってウエディングドレス。かなり厳しいのは素人の私にだって容易にわかる。

 唖然とする私たちだったが、ソフィアさんだけが穏やかな表情で立っていた。

「ソフィーはサンプルって言った。ちゃんとした縫製はソフィーのボディに合わせてから。それならそんなに時間かからない。どういう形なのかをまずは見てみたいの」
「しかし、生地が揃うかどうか……」

 佐渡さんが目を泳がせてぼそっと漏らした。