極愛恋情~敏腕CEOに愛し尽くされています~

「あ。メール」

 織がシャワーを浴び終わってリビングに戻ってきたのと同時に、スマホの着信に気づいてつぶやいた。
 ベッドの中で文字を目で追い、織をちらっと見る。

「明日、昼一時にwoman crashの制作室に集まることになった……。それで、ソフィアさんに連絡しておいてってあるけど……」

 私はソフィアさんの連絡先なんて知らない。まあ、そんなこと部長は知らないから私に連絡してきたんだろう。

「俺が連絡するよ」

 織はさらりと言うなり、ベッド脇に座ってすぐにメッセージを作成し連絡を済ませたみたい。

 私は連絡をしてもらって助かったと思う反面、ソフィアさんの連絡先を知っていて、メッセージを送るのも当たり前のように見えて複雑な心境になる。

 なんとなく織に両腕を伸ばし、きゅっと抱きしめた。

「麻結……?」
「……もう寝なきゃね」

 織は私の頭にぽん、と手を置き、優しい笑みを浮かべる。そのまま、織に抱きしめられて眠りに就いた。

 数十分後。間接照明の灯りがついている気がして、ふと目を開ける。
 すると、隣にいたはずの織がテーブルでなにやら仕事をしていた。

 織の後ろ姿を静かに見つめ、唇を引き結ぶ。

 わかってる。織がずっとここにいられないというのは。

 織にだって仕事がある。必要としている人が、日本だけでなく世界中にたくさんいる。
 いつの間にか本当にすごい人になってしまった。

 そうなれたのは、紛れもなく織の努力の賜物だ。私が今の織の生活を壊したり奪うわけにはいかない。

 これ以上、織の背中を見ていたら涙が出てしまいそうで、私はゆっくり睫毛を伏せた。