極愛恋情~敏腕CEOに愛し尽くされています~

「あ、シキね。ソフィーこれから会いに行く。先にあなたのところ来たかったから」
「私のところに?」
「だって、ソフィーの着るウエディングドレス考えてくれてる」

 首を捻った私に、彼女は極上の笑みを浮かべて言った。
 ソフィアさんからは悪意のかけらも感じられず、まるで聖女みたいにも映る。

 有名人なのに高飛車な態度もなく、気さくに話しかけてくる。

 ちょっと強引なところはあるけれど、無邪気でつい許してしまうのは、彼女の特権である種の才能だ。
 誰もが彼女に魅了されるに違いない。

「マユ、ソフィーがシキのところ行くの助けて」
「あ……はい。たぶん六階かと」

 ぼんやりとソフィアさんに見惚れていたとき、彼女の声にハッとして我に返った。

 結局、私は織のところにいくことになり、複雑な思いを抱えてソフィアさんを案内する。

 私の斜め後ろを歩くソフィアさんを振り返ると、にこりと屈託ない笑顔で返される。終始友好的な態度の彼女に、私はもはや敵対する気持ちも苦手意識もなかった。

 織との関係は引っかかっていても、彼女という人間に対して嫌悪感を抱くわけではない。

「ソフィー、絶対にシキがいいの。でも、マユのドレスも楽しみ」

 ふいにソフィアさんが口にした言葉に驚いた。
 『絶対に』と強調した彼女からは、シキを心から求めていると感じられる。

 私がなにも言えずに彼女をただ見つめていると、ソフィアさんは眉尻を下げて艶やかな唇を開く。

「ワガママ言ってごめんなさい。マユも仕事あったよね」

 本当に申し訳なさそうにしゅんとする様は、妹のようにいじらしくて手を差し出したくなる。

「で、でも……ちょっと楽しいです。誰かのために考えるのって」

 お世辞じゃない。本音だ。

 昔はずっと自分のためにデザインしていた。
 子どもの真似事だから、デザインだなんて立派なものじゃなかったけれど、気持ちは本物だった。

 今回、特定の誰かのためだけにイメージを膨らませる作業は、とても新鮮で夢中になれた。