定時を過ぎ、午後六時半。私はなんとかスケジュール通り仕事をこなし、オフィスで事務処理をしていた。
今朝の出来事を思い出しては手が止まる。
実は今日一日、ずっとこんな調子だった。
通常業務も抱えてウエディングドレスのデザインなんて……。しかも、猶予はたった五日間。
自ら飛び込んだ結果だとはわかっていても、ため息が漏れる。
「瀬越。すごい噂が耳に入ったんだけど、その様子だと事実?」
「井野さん!」
振り返るとコーヒーを持った井野さんが立っていた。
彼は私にひとつコーヒーをくれて、空いていた隣の椅子を持ってきて座る。
「あ、ありがとうございます」
「うちの広告モデルを賭けて、デザイン勝負だって?」
井野さんの言葉に、また深い息が足元に落ちていく。
「ちょっとした話から、一気に膨らんじゃって大ごとに……」
「でもwoman crashのデザイン課スタッフも一緒にやるって話を聞いたけど」
私を励まそうと明るく振る舞う井野さんを前に、私は力なく笑いを零した。
「それが……メインはあくまで私じゃなきゃだめだって知ったからか、あんまり……協力していただけない雰囲気で」
そりゃあそうだ。みんなそれぞれ仕事が忙しい。望みが薄いとわかっていて、貴重な時間を費やしたくないに決まってる。
気まずい空気の中、井野さんが苦笑交じりに言った。
「え。マジ? じゃあ……どうするの?」
「やりますよ。恥さらしでもなんでも、一度引き受けたものはちゃんと真剣に向き合います」
一日散々悩んで、今も正直気は重いけど、後ろ向きになるのはやめた。
『どうせ私なんか』って気持ちを押し込めて、やるだけのことをしようと決めた。
「それを聞いて安心した。嫌々やる人に手は貸したくなかったから」
突然、私たちの後方から聞き慣れない声が割り込んでくる。入り口付近を見ると、細身の女性が立っていた。
今朝の出来事を思い出しては手が止まる。
実は今日一日、ずっとこんな調子だった。
通常業務も抱えてウエディングドレスのデザインなんて……。しかも、猶予はたった五日間。
自ら飛び込んだ結果だとはわかっていても、ため息が漏れる。
「瀬越。すごい噂が耳に入ったんだけど、その様子だと事実?」
「井野さん!」
振り返るとコーヒーを持った井野さんが立っていた。
彼は私にひとつコーヒーをくれて、空いていた隣の椅子を持ってきて座る。
「あ、ありがとうございます」
「うちの広告モデルを賭けて、デザイン勝負だって?」
井野さんの言葉に、また深い息が足元に落ちていく。
「ちょっとした話から、一気に膨らんじゃって大ごとに……」
「でもwoman crashのデザイン課スタッフも一緒にやるって話を聞いたけど」
私を励まそうと明るく振る舞う井野さんを前に、私は力なく笑いを零した。
「それが……メインはあくまで私じゃなきゃだめだって知ったからか、あんまり……協力していただけない雰囲気で」
そりゃあそうだ。みんなそれぞれ仕事が忙しい。望みが薄いとわかっていて、貴重な時間を費やしたくないに決まってる。
気まずい空気の中、井野さんが苦笑交じりに言った。
「え。マジ? じゃあ……どうするの?」
「やりますよ。恥さらしでもなんでも、一度引き受けたものはちゃんと真剣に向き合います」
一日散々悩んで、今も正直気は重いけど、後ろ向きになるのはやめた。
『どうせ私なんか』って気持ちを押し込めて、やるだけのことをしようと決めた。
「それを聞いて安心した。嫌々やる人に手は貸したくなかったから」
突然、私たちの後方から聞き慣れない声が割り込んでくる。入り口付近を見ると、細身の女性が立っていた。



