極愛恋情~敏腕CEOに愛し尽くされています~

「瀬越さん! 今の女性は世界でもトップレベルのモデルらしいじゃないか! まさかそんな素晴らしい人のほうからうちの広告モデルになってもいいと言ってくれるなんて!」

 よりによってwoman crashの部長が居合わせてしまっていたらしい。

「で、でもあくまで私の描いたウエディングドレスのデザインを気に入ってもらえたらの話で……」

 勝算は一パーセントもない。負け試合だと周りの誰もがわかっているはず。
 しかし、部長は嬉々として言った。

「ウエディングドレスだろ? だったらうちのデザイン課には経験者がいるじゃないか。彼女に任せたらいい」

 名案だとばかり、鼻息荒く語る部長に釘を刺したのは織だ。

「いえ。止めたほうがいい。デザイン画を見せたときに、ソフィーは必ずなにかしら質問してくるはずだ。そのときに答えられない時点で嘘を見抜かれる。彼女は仕事になったらがらりと雰囲気が変わるので」
「えっ。じゃあ、どうすれば」
「彼女がやるしかない」

 そう言って、織が私に視線を向けた。さっきとは少し違うざわつきが周りから感じる。
 私は思わず肩を窄め、俯いた。

「ところで、そもそもなぜそんなすごい人が瀬越さんに?」

 部長に訝し気に尋ねられ、慌てて取り繕う。

「さ、佐久良さんをお見掛けして挨拶をしたらソフィアさんがやってきて、たまたまと言いますか!」
「ふうん。まあ、じゃあとりあえず、瀬越さんに懸けるしかないのか。死に物狂いで頑張ってくれよ! 奇跡が起きるかもしれないしね」

 部長は陽気に笑って私の肩をぽんぽんと叩き、意気揚々と続ける。

「そうだ。さっきの彼女もさっき手伝うのはいいって言っていたし、デザイン課のスタッフに協力してもらえるようお願いしておくよ」
「デ、デザイン課に……?」

 ここまで大ごとになるなんて……!

 ソフィアさんに承諾した時点で後には引けないとはわかりきっていた。
 だけど、ほかの人たちを巻き込むつもりはなかったから、勢いで踏み切っただけなのに。

 織が言った通り、あくまで私がメインでやるとなると勝負はかなり厳しい。手伝ってくれる人の時間と労力を無駄にしてしまう。

 不安な心地でどうにか立っていると、すでに部長は済んだ話と言わんばかりに私に背を背け、織に話しかけている。

「佐久良さん、M-crashのフロアに行くんですよね? 僕も用事があって。一緒に行きましょう」
「あ……はい」

 織は一瞬私に意味深な目を向けたが、部長やほかの社員の手前なのか、そのまま部長と行ってしまった。