「なければ、用意すればいいの」と。
「どういうこと?」
響子が首を傾げる。
「だから【つ】から始まるでしょ?つめ切りとかどう?」
「つめ切りなんて学校には__あっ!」
なにか思い立ったのか、響子が声を上げた。
もう、私は気づいていたけど__しりとりゲームが始まった教室にも、私のかばんはあった。響子のかばんについていた、ゴリラの縫いぐるみもそのままあったんだ。
ということは、あらかじめ準備しておけばいい。
「家からつめ切り持ってくればいいんだ」
忘れないように「つめ切り」と繰り返している響子。
じゃ、次は【り】がつくもの。
「リップにする。それなら用意しなくても持ってるから」
私はかばんに触れながら言った。
「次は【ぷ】だけど__?」と、明香は3番手の賢太を見る。
塾に行けないからと参考書を開いていた賢太は、悠馬にハンバーグソースをかけられて怒っていた。
参考書がソースで汚れている。
それよりは【ぷ】のつくものを探さないといけない。
「プリント、とかどう?」
私が思いついた言葉を言ったけど、反応は悪い。
なにをもってしてプリントというか微妙なところか。
「あっ、プリクラは?」