千紘さんのありがた~いお話

 偽装結婚の部分を省いて、千紘が峰子に説明すると、

「あらあら、もうそんなに話が進んだの?
 よかったわー。

 なんだか似合いだと思ったのよ、貴方と真昼」
と峰子は言い出す。

 なにっ? と真昼は叔母を見た。

 もしや、見合いの代理というのは嘘だったのだろうか。

 最初から、私を送り込むつもりで?

 そういえば、結婚結婚うるさい母と祖母と、この叔母は、よく話し込んでいるな、と気づく。

 その間にも、勝手に、千紘と峰子の間で話が進んでいた。

「ほんと、ちょうどよかったわー。
 この子もそろそろ結婚した方がいいんじゃないかなーと思ってたからー」
と峰子は調子よく、千紘と似たようなことを言ってくる。

「いや、おばさん、結婚って、ちょうどいいからするもの?」
と反論してみたのだが、

「ちょうどいいからするものよっ。
 あんた、結婚ってのは勢いよっ。

 立ち止まって考えたらできないわよ。

 私もそうよ。
 立ち止まってたら、あんな人と結婚してないわよっ。

 勢いで結婚したからこそ、此処までなんとなくやれてんじゃない」
と逆にすごい勢いで言われてしまう。