……なんか女性より綺麗な顔してるな、と思いながら、
「すみません、待っていただいて。
 あの、申し訳ありませんが、五階を」
と彼が階数ボタンを覆うように立っていたので言うと、

「押してある」
と美しい顔に似合わぬ無愛想な態度で彼は言う。

「あ、そ、そうなんですか。
 五階にいらっしゃるんですか?

 偶然ですね~」

 なんか怖いよう。
 やっぱり、エレベーター降りてくるまで待つべきだったか、と思いながら、そう言うと、更にぶった切るような口調で男は真昼を見下ろし、言ってくる。

「お前は、見合い写真も見てないのか?」
「は?」

「俺が五階に行くのは偶然じゃない。
 俺がお前の見合い相手の仙谷千紘(せんごく ちひろ)だ」

「え?」