千紘さんのありがた~いお話

 そう思う真昼を千紘はスナイパーのような目で見て言ってくる。

「うかつに男と口をきくな。

 狭い街だ。
 わずかな動きがすぐに察知される」

 誰にっ?

 敵にっ?

 敵って、誰っ?

「あっという間に噂は広まるので、軽はずみな行動をとらないように」

「あの……門馬くんとは、たまたま、あそこで目が合って、卒業生と間違えられただけなんですが」

 そう言うと、千紘は冷ややかにこちらを見、
「かなり気安い感じに口をきいていたように見えたが」
と言ってくる。

 何処から見てたんだ、この人は、と思っていると、
「見知らぬ男に簡単に話しかけられるなんて、お前の言動に軽さがあったんじゃないのか」
と言って来るので、

「い、いや。
 私が口を開く前に、向こうが話しかけてきたんですが」
と反論すると、

「じゃあ、お前の(たたず)まいが軽かったんだろう」
と言ってきた。