千紘さんのありがた~いお話

「先生。
 先生の奥さん、浮気してましたよ」

「門馬か」

「……なんで即答なんですか」

「門馬か、それ以外か」

「なんで二択なんですか」

 いや、門馬が一番危険な感じがするからだ、と千紘は思っていた。

 門馬か、のところで、横で弁当を食べていた佐村が噴き出していた。

 その話、此処でしていいの!?
という目でこちらを見ている。

「門馬会長ですよ。
 奥さんと仲いいんですか?」

「漫画の貸し借りをしている。
 この間借りた呪いの村の話は怖かった……」
とあの、ほとんど真っ黒なベタ塗りばかりのページを思い返しながら言うと、

「なんだ。
 家族ぐるみの付き合いなんですね」
と愁子はちょっとつまらなさそうに言う。