「これだよ」


 幸弥は一冊の週刊誌を羽弥斗に見せた。


 人気の週刊誌。


 その1ページに・・・


「うん。これで、きっと尻尾を出してくるんじゃないかな? 」

「ああ。病院にも調べはついている。書類も、警察に出してあるから。きっと動き出すと思う」

「そうだね。有難う」

「でも8年もよく、我慢していたな」

「うん・・・」


 羽弥斗は雑誌を見つめた。


「ひまわりの事を思って、ずっと黙っていてくれたんだ。・・・この人には、何倍も償ってもらわなくちゃ」

「ああ、そうだな。ノエリちゃんは元気にしているのか? 」

「うん。最近は手に職をつけたみたいで、少しづつ仕事になってきているようだよ」

「そっか、それなら安心だ。そう言えば、ノエリちゃんが住んでいた家の事は知っているか? 」

「家って、ノエリが逮捕される前の? 」

「ああ、高級住宅地でわりと豪華な家に住んでいたようだ。ずっと売りに出ていて、買い手がなかったらしいが。最近誰かが買ったようだよ。でも、まだ誰も住んでいない様なんだ」

「そうなんだ。ノエリはお金持ちの子供だったのかな? 」

「ノエリちゃんのお父さんは、新幹線の運転手だったが。ノエリちゃんのお爺さんは、検察官でお婆さんは腕利きの弁護士だったそうだよ」

「え? そうなんだ」

「住んでいた家は、高額で売られていて誰も買えなかったらしいんだ」

「そっか・・・」

「大事にしてやれよ、お前が心から愛した人だろう? 」

「ああ、解っているよ」



 
 幸弥と羽弥斗が他愛ない話しをしていると。


 コンコン。