着信表示を見て、羽弥斗は驚いた顔をした。


 電話に出るのにちょっと緊張した面持ちの羽弥斗。


「あ・・・も、もしもし・・・」


 緊張して羽弥斗が電話に出ると。


(・・・もしもし・・・)


 電話の向こうはノエリだった。


「あ・・・」


 ノエリの声を聞くと、羽弥斗の目が潤んできた。

「ノエリ? ・・・本当にノエリだよね? 」

(はい・・・)


「元気かい? ちゃんと、ご飯食べている? ・・・今・・・どうしているの? 」

(・・・今・・・)


 電話の向こうで車の走る音がした。

 ふと、羽弥斗は窓の外を見て見た。

 すると・・・


 ホテルの下にノエリの姿を見た。


「ちょっと待ってて、すぐに行くから」


 電話を切って、羽弥斗は急いで部屋を出て下に向かった。





 ホテルの外に出ると、そこにはノエリが居た。


「ノエリ・・・」


 ノエリを見ると羽弥斗は胸がいっぱいになり、言葉より先にギュッとノエリを抱きしめた。


「ノエリ・・・。ここにいたんだね・・・」

「・・・父が昔、ここの新幹線の運転手だったから・・・」

「そっか。北の新幹線って言ってたもんね。でも良かった無事で」


 ギュッと抱きしめてくれる羽弥斗の胸の中がとても心地よくて、ノエリの目が潤んだ。


「ごめんねノエリ。・・・僕はやっぱり、ノエリの事が忘れられない。この二ヶ月ずっと、苦しくて。別れるなんて、できない・・・」


「・・・私も・・・同じ気持ちでした。・・・風俗店で会っただけなのに、どうしてこんな気持ちになるのか・・・判らなくて・・・」