【全巻完結】愛は惜しみなく与う①


バタバタ
『いたぞ!!!』


見つかった

女を押し返そうとするが、ビクともしない。
え?俺がいま、力が出ないだけ?


足音は近づいてきたが、俺たちよりも手前で止まる


『金髪の女じゃねーかよ』

『こんな所でイチャイチャすんなよ』

『まぎらわしい!』



あっちだ、いくぞと言い、足音はこの場から去って行った


……助かった??


「こんなんで引っかかるんやな!一か八かやったけど成功してよかった」


ニコニコ笑う女は、俺の目が霞んでるのかもしれないが、可愛い顔をしていた。


ありがとう

そう告げようとしたとき、目の前の女は大きな声を出す


「あーーーー!やば!お気に入りの服に、あんたの血ついたやん!早よ洗わな」


……そりゃすまなかった
かっこわりぃ

クリーニング代でも出せたらよかったけど、財布は、あいにく鞄の中


「携帯貸してくれ。その服もなんとかしてやるから」


あいつら、そろそろ俺のこと探し出すはずなんだけどな…

せめてあと少し意識を保てれば…


そう思ったが


どんどん目の前が暗くなる


「は?また倒れんの?ちょ、待って!救急車??」


女の声が最後に聞こえた


救急車は…やめてくれ


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