【全巻完結】愛は惜しみなく与う①

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「状況わからんけど、困ってるん?」


たまたまそこに居合わせた女は、逃げずにまだそこにいる。
……血が出すぎて頭が動かない。

座り込んでいた足が見えたのか、青紫色に腫れ上がった足を見て「やば」そうポツリと女は呟いた。



バタバタと足音が近づいてくる

はぁ

携帯どこにやったんだろう。
せめて連絡さえできれば、なんとかなったかもしれないが、今回は諦めるか?

追いつかれる。

相手何人いたかな…
こんなボロボロで勝てるかな
拳に力を入れる。
誰か分からないが、この女も巻き込まれたらどうなるか分からない…


守ってやる気力もない
でも

逃してやらないとな



すると、くるくる回る視界で女が動いた




「誰か知らんけど、あんたほんまに、貸し1つやで」



は?


くるくる回る視界がその瞬間に晴れた



俺と同じ色の髪をしたその女は、少し呆れたように笑い俺に近づく。



「黙っときや」



聞きなれない関西弁を話すその女は、俺の前に膝をついて、俺の頭を覆い尽くすように、ふわりと抱きしめた


な…何してんだ?


あいつらが来る
でも体は動かなかった