【全巻完結】愛は惜しみなく与う①


「それに…少し彼女を調べてみましたが…関西の子だからか分かりませんが、情報がなくて…」



新は携帯を触る。
彼は情報やデータを独自のルートで入手しており、そのスピードと信頼性で、烈火の情報参謀を務めている。

そんな新は、彼女を調べたという。



「苗字はポストに" 峰岸 "と書いてあったんで、峰岸 杏で調べていますが……何もヒットせず。いや…何か…意図的に…」


そう言い口をつぐむ。

そう、まるで彼女の関わる全ての情報がごっそり抜け落ちているような…



「はぁ…わかった。あの子とは関わらない。今後。でも2週間…明日から2週間は日替わりで誰か見張りをつける。俺たち5人のうち誰かを」


その言葉を聞き、ピクッと反応したのは響だ。


「お、俺もあいつを見張らなきゃいけないのか?」

「…あの子がいなきゃ、俺は死んでたかもしれないぞ。今日のことが誰かに見られてないか数日ではわからない。せめて2週間様子を見る。それで何もアクションがなければ…それまでだ」



普段口数の少ない泉だが、チームのことを話すときは、よく喋る