【全巻完結】愛は惜しみなく与う①

烈火に女は必要ない。
女禁制という訳ではないが、特定の人を側に置くメンバーは少ない。

汚い世界だ。弱いものから狙われる

弱みを見せれば負けだ


そして" 総長の女 "になりたい女が沢山いる。
泉はそれらを嫌い、やがて女性と話さなくなったという。

響も少し理由は違うが、女嫌いは同じであった。
そんな響も気になるようだ。

泉が彼女に少し心を開いていることに。


たった数時間。助けてもらったとはいえ、あの泉が懐くのか?そんなことを言いたげな表情であった。

しかし泉の答えは簡単だった




「……下心がなくて、まっすぐな奴だから」



それで説明は充分だった。
全員が少ししか話してない彼女に思ったこと。まっすぐな気持ちは、不快なものではない。


歪んだ世界にいる彼らには少し眩しいものだった。


「にしても…この家、本当に杏ちゃん一人で住んでるのかな??」


慧は周りを見渡す。今いるのはダイニングで、隣にはキッチン。
そして廊下に出て、6畳くらいの洋室が4部屋ある

その一つに彼女は寝ている