涙を流しながら喜ぶ杏

悲しい涙ではなく、今度は喜びの涙


杏の涙はとても綺麗だった


「みんなありがとう」


目をゴシゴシこする杏の手を抑えてハンカチを渡しておく


朔も慧も新も響も…

メンバーみんなも…


杏のことを家族だと思っている


それだけを伝えたかった


考えるのはやめよう


俺らがもっと頼りになれば、杏はきっと、頼ってくれる。杏の居場所を作ってあげるだけだ


「うわーーーん。みんなありがとうな!なんやねん急に…あたしの方が皆んなにお礼言いたいくらいやのに」


女の子は、なんて言うか…シクシク泣くイメージだったが、杏はもう…豪快に泣いている


拓也が杏の隣でティッシュケースを持っていて、そこから杏は、シュっとテッシュを取っては鼻をかみ…また取っては涙をぬぐい…

ほんと

忙しいやつ



「杏?いつでも、お前が甘えたい時は、俺らがいるから」


俺がそう言うと、俺の腕を掴んで、腕に顔をつけて笑っていた

そしてその口は、
いずみありがとう

そう動いた