【全巻完結】愛は惜しみなく与う①



「なんでって…救急車は嫌だって言うわりに血だらけでまともに動けないし…
見てしまったから助けない訳にはいかへんやろ?それだけ」


何当たり前のことゆうてんの。

そう言い彼女はお茶を飲んだ。目の前で人が倒れていたら助ける。

そうですね。もっともな意見なんですが…
チラッと泉を見る。


この見た目で、血だらけだったら、助けないですけどね、私なら。


「じゃあ本当に泉が目当てで連れ去ったわけじゃないんだね」


慧は彼女の人となりが少しわかったのか、なーんだと言いつつも、喜びが顔に出ていた。

しかしまた疑われた彼女はムッとした顔で言う




「こんなボロボロで財布も携帯も持ってへんやつ、目当てにもならんわ!」




そんな彼女に久しぶりに大爆笑してしまった。


決してそんなカツアゲ的な意味で、泉が目当てかと聞いたわけではない。

慧ももちろんそうです。


私たちに近づく女は多いですし、恩を売って取り入る人なんて、山ほどいる。

慧はそれを気にしているし、泉も嫌いですし…


だから疑うように何度も聞いてしまった。



でもそんなこと気にならないですね。



彼女は損得関係なく泉を助けてくれたみたいです。きっと彼女にとっては、損しかなかったかもしれませんね