【全巻完結】愛は惜しみなく与う①


バイクに跨ったところで電話が鳴る


「ん?あぁ…わかった」


泉はそれだけ言って電話を切った


「もう倉庫来ていいだってさ」


後ろを振り返る泉の金髪がふわりと風になびく

19時までくるなと言われていたが、もう用事が終わったらしい

大人しく後ろに乗る


今日は寝たくないな…なんて思ってしまった。
きっと夢を見るから

何も考えたくないから、みんなで倉庫に居たかった。何も悩まなくて済むから


「杏?寒くないか?」


今日は日中暑かったのに、日が落ちてくると少し肌寒い。でも泉にくっついてるから温かい

泉の方が半袖やし寒そうやけど


まぁ泉の上着は、あたしの膝にかけられてる。だからあたしは寒くない

そんなこんなしていると倉庫に着く


いつも外からでも騒がしい倉庫は



シーーーンとしていた



「え?なんかあった?」

「…静かだな」


静かだな、ちゃうわ!物音ひとつせーへんし、倉庫の灯りもついてない


「あたしらおらん間、なんかあったんやわ」


明らかに倉庫の雰囲気はおかしい