【全巻完結】愛は惜しみなく与う①


誰かが呼ぶ声がする


嫌な記憶が呼び覚まされる



『お前は俺のものだろ?』

『一生逃げられない運命なんだよ』



なんであたしに付き纏うのか。なぜあたしに執着するのか
訳がわからない

そしていつも最後に決まって脳裏に映し出されるのは


ぼろぼろの鈴の顔


あいつに犯されている鈴



そして鈴の口は動く




【 あんたのせいだから 】




ごめんなさい
ごめんなさい


あたしが大人しくあいつに捕まっておけば良かったんだ


あたしが皆んなに助けを求めなければよかったんだ



あたしが汚れても、いなくなっても…
世界は回るんだから



東堂財閥の跡取りを失わせて、罪のない妹を犠牲にするくらいなら



あたしでよかったのに…




暗くドロドロした所へ落ちていく


いつもそうだ

この夢を見ると、落ちて落ちて…黒いものに呑み込まれる


でも今日は誰かがあたしを呼ぶ


杏ってあたしの名前を呼んでくれる



誰でもいいから…



ここから…



「助けて」