その時あたしは思った
母上の中で娘は鈴1人やったんやって
その場には、志木とみのりさん。そして事件を捜索していた警察のお偉いさんがいた。
狂ったように鈴は生きている
杏がいなくなった
そう笑ってる母上を、みのりさんは怒ってくれた
『杏ちゃんはここにいる!死んでなんかない』
その言葉だけで嬉しかった。そんなみのりさんの言葉も聞こえていないのか、ブツブツと呟くだけ
さすがの警察の人もなんとなく事情がわかったのか戸惑っていたから、言ったんだ
「今のまま報道して?」
「え?」
「行方不明になって死んだかもしれへんのは、東堂 杏やって報道して」
志木には、何ふざけたことを言ってる!と胸ぐらを掴まれたのを覚えている
あたしのためにそこまで怒ってくれる人はおらんから
「東堂財閥の娘やで?言うこと聞いといたほうがええんとちゃう?」
こうしてあたしは、大嫌いな権力を振りかざし、警察に圧力をかけた
これが全ての始まりと終わり
あたしが杏をやめようと思った日だ



