【全巻完結】愛は惜しみなく与う①


みのりさんが、杏ちゃん!そう叫んだが無視をする。あたしは今は杏ではない




鈴や!!!!



長い廊下を歩く。1つも息が上手く吸えない
重々しい扉を開けると、そこには大きなベッドに1人横たわる、弱々しい人がいた



あたしの母親である、東堂 蘭 が居た




「お母様。鈴です。ただいま戻りました」



志木を下がらせて部屋に2人になる



あたしの声を聞いて、目に力を無くしていた母上は、急にキラキラと輝いた目に変わった


「鈴ちゃん!鈴ちゃん!!あぁあたしの可愛い娘」

弱々しく病弱な腕があたしを引き寄せる
こんなにも、細くなられたか、母上


「留学はどうなの?ちゃんとできてるの?あなたの姿を見ないと不安で…急に呼びつけてごめんなさいね?」


「いえ、いいんです。お母様こそ、もう少しお身体に気をつけてください」


「そうね、鈴ちゃんが居るんだもん。弱ってたらダメよね!」



母上の生きる力は、鈴なんだ


あの日母上は、鈴の悲報を、1ミリも受け入れなかった